「金生山上にて」 風雨来記4を追いかけて / 2024岐阜の旅・夏その4

2024岐阜の旅

金生山上にて



金生山 明星輪寺。
ここは奈良時代より以前に建てられたという、とても古いお寺だ。



「お寺」と一口に言っても、平安時代以降に発祥したお寺と、奈良時代以前のお寺は性質がまったく違うと個人的に思っている。
そして自分は主に後者に、ワクワクを感じる。



平安時代以降のお寺は、我々現代人が想像する「いわゆるお寺」のイメージに近い。
一方、奈良時代以前のお寺というのは、もっとワイルドというか、古くからの巨岩信仰とか山岳信仰みたいな在地の信仰に、アジアから渡ってきたばかりの大陸仏教が「掛け合わされた」ような独特の雰囲気が感じられる。


以前の岐阜旅で訪れた、飛騨の千光寺もそうだった。
あそこは、古墳時代にリョウメンスクナが建てた寺と言われていたっけ。

そうしたお寺の境内からは、弥生時代とか縄文時代とかの遺物や祭祀跡が発見されることも多く、寺ができる前から信仰の場とされていたことがうかがえる。

奈良時代以前の仏教は、日本国内での立ち位置がまだ定まっていなかったこともあって、既存の信仰を仏教で「上書きする」「塗り替える」というより、引き継ぐ形で取り入れつつ「更新」「継続」していく傾向があったんじゃないだろうか。



この明星輪寺にも、そういう「匂い」が感じられた。
立派なお寺の境内の背後には、無数の巨岩が斜面を覆い尽くしている。

きっと、この山上の巨岩地帯自体が信仰の対象だった時代があるだろう。


風雨来記4にも登場した「屏風岩」
仏が刻まれた岩も。




今は「ピラミッド」と化した隣の峰も、元々はここと同じような木と巨岩が織りなす風景だったんだろうな。

「金生山」は石灰石採掘のために削り取られてどんどん縮小する中で、このお寺の周辺だけは、かつてのままの姿が残されている。
おかげで、金生山を真横から見渡す「あのアングル」が生まれたとも言えるだろう。


















登り切ると、目の前に眺望が一気に広がった。






吹き抜ける風に、汗がすーっと引いていく。
かたわらにあるベンチに腰掛ける。




リリさんはあの旅の中で、ここには訪れただろうか。
主人公が教えた「おすすめ観光スポット」の中にここは含まれていただろうか。

もし、リリさんがここを訪れたなら。
あるいは主人公とここで再会したなら。

彼女がどんな風にここで過ごすのかを想像しながら、眺望を楽しんだ。






金華山が見える。
てっぺんの岐阜城がはっきり見えるのですぐに分かるのが面白い。

きっと向こうからも、この金生山は目立つことだろう。










近くには、「くぐり岩」という看板がそえられた岩屋があった。






特に何の説明がないようだが、文字通り「くぐれる」岩なのだろう。
挑戦してみよう。



写真では伝わりにくいと思うが、この岩の隙間、とても狭い。
高さも幅も、大人の男性がひとりくぐり抜けるのがやっとのサイズ。

しかも、途中で道が弧を描いているので、なおさらきつい。
一部は腕立てのような状態で手をついて「くぐり抜ける」必要がある。



岩の隙間の地面はしっとりと湿っていて、どこか別の世界につながっているような空気感があった。







なんとか無事、「くぐり岩」をクリア。






余談だが、帰宅後に風雨来記4を起動して、このスポットにゲーム内でも訪れてみたら、主人公も作中でこの「くぐり岩」に挑戦していた!
何度もプレイしたはずなのに自分が訪れた時はすっかり忘れていた。








今回に関しては特に意識したわけではなかったのに、自分が、彼と同じものを面白そうだと感じて挑戦していたことがなんだか嬉しかった。



……あ、そういえば。







何か見覚えあるなって思ったら、これも風雨来記4作中で主人公が注目していたっけ。






当時に比べて風雨にさらされてけっこう年季が入って見える。
かけてある場所は少し違うので、位置が変わったのか、別の看板なのかもしれない。













あまりに喉が渇いたので、山門そばにあった自動販売機でジュースとお茶を1本ずつ購入。
ベンチに腰掛けて、しっかり水分補給してから明星輪寺を後にした。








コメント

  1. 紅茶 より:

    金生山の登頂お疲れ様でした。
    自分も風雨来記4をやり直してた時に、金生山をゲーム内で訪問しました。
    くぐり岩、そんなに狭かったんですね。あっさりと潜り抜ける感じがしたので、記事を読んでて面白いなと感じました。
    夏になり暑くなってきてますので、体調第一で更新していただけたらと思います。

    • ねもと より:

      コメントありがとうございます。
      ぱっと見、「これ行けるの?」ってなるほど狭かったです。
      もしくぐってなかったら、あとでゲームで再訪したときに「くぐっておけばよかった~」って後悔したと思うので、挑戦してよかったです。
      ご配慮ありがとうございます。紅茶さんもご自愛ください。

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